日々の出来事

ブラック・ジャック先生

最近やたらアマプラでブラック・ジャックをレコメンドされるなと思ったら、(←アニメ好き)昨年キャラクターが誕生してから50年だったのだそうですね。今年の6月にはスペシャルドラマで高橋一生がブラック・ジャックを演じるようです。個人的にとても楽しみにしています。

ブラック・ジャックとは、幼少期に不慮の事故から身体がバラバラになり、天才外科医の本間先生に救われたのち、医師免許を持たないもぐりの医者(ブラックジャック先生)として法外な治療費を取りながら天才的手術で様々な人々を救っていくお話。その片側には助手のピノコがおり、ピノコは双子の姉のお腹の中で18歳になるまで畸形嚢腫として過ごし、のちにブラック・ジャック先生が摘出手術をして人間として生きられるように手術を施す。見た目は5歳くらいの女の子だが、中身は18歳で自称先生のオクタン(奥さん)と名乗るキャラクター。

手塚先生は生と死や生きることの意味を自身の作品でテーマにしていますが、ブラック・ジャックにおいても、毎回の患者のエピソードをとおして生きるということを本当に考えさせられます。

重苦しくなりがちなテーマにおいて、ピノコの明るくて陽気なキャラクターは見ていて飽きさせないし、ブラック・ジャック先生とのやり取りは見た目5歳児ながら夫婦そのもの。

ブラック・ジャック先生って、てっきり孤高のキャラなのかなと思ったら、何というかとても人間っぽいのですよね。ピノコと一緒に生活し、時には二人で買い物に出かけて浴衣を買って一緒に花火を見たり、アイスクリームを食べたりもします。ピノコは大抵わがままなのですが、先生は甘やかしながら時には窘め、ピノコを温かい目で見守ります。ピノコは自称奥さんと名乗るくらいブラック・ジャック先生のことが大好きなのですが、子供とは思えないくらい先生のよき理解者。18歳のレディだと言っているくらいだから、精神年齢はそのくらいなのかも。見ていて感心するのは、ブラック・ジャック先生の扱い方。ピノコは子供らしいわがままさを持っているので、ブラック・ジャック先生が女性の患者と仲良くするのをよしとしない。何なら、「先生は女性の患者には丁寧だ」と言い放つ。(確かに女性に少し甘い)そして先生の「出かけるぞ」の言い方一つで、「そういう時は嫌な予感がする!」と熟年の夫婦みたいなやり取りをするのです。

ブラック・ジャックはそんなピノコに手を焼きつつも、まんざらでもない様子。ピノコが他の男の子と仲良くしているとちょっと嫉妬したりしていて可愛い。そしてなんと言っても、先生にとってピノコは自分を励まし優しく見守り、インスピレーションを与えながら手術のサポートをする最高の存在なのです。ブラック・ジャックはその手術において芸術的センスを持った神の手を持つ医師なのですが、時に頑なで人に対して非情になってしまいます。そんな彼がピノコをとおして多くの気づきを得て様々な患者と向き合って行くようになります。手塚先生、こういうキャラ好きですよね。後にピノコはここ何年かで自分が創り出した中で最高のキャラクターを言っているように、芸術家に刺激を与える女性というのは手塚先生が描いた未完の漫画「バルボラ」にも登場します。バルボラはボロボロの恰好をした女性なのですが、バルボラが芸術家の傍に現れるとその芸術家は大成するというお話です。ただし、こちらの女性は去った後にその芸術家が亡くなってしまうという悲しい末路を辿るのですが...

作品中のピノコはとても好奇心旺盛でコミュニケーション能力も高いので手術案件は大抵ピノコ絡みです。ピノコが誕生する前は先生のところに全く患者が来ず、なんと怪我をしたシャチを患者にしています。(この回のお話とても好き)そして芸術家にインスピレーションを与える相手としては、バルボラと似てますね。キャラクターの陰と陽はあるにせよ。何れにしても、ピノコは先生にとって公私ともに自分を支えるパートナーと言えそうです。

そしてブラック・ジャック先生は天才だけれども至って普通の男なのですよね。法外な報酬を取るもぐりの医者で奇才を放った手術をするという以外、帰りが遅くなる時はちゃんとピノコに連絡し、ピノコの作った食事を食べ、夜はパジャマを着て寝ます。因みにパジャマの下はランニングとトランクスです。この辺りも高橋一生には忠実に表現してもらいたいです 笑